韓国大統領夫人にブランド品授受疑惑=総選挙控え、波紋広がる 2024年02月03日 05時58分

韓国の尹錫悦大統領(左)と金建希夫人=2023年5月、広島県三原市
韓国の尹錫悦大統領(左)と金建希夫人=2023年5月、広島県三原市

 【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領(63)の夫人、金建希氏(51)が知人の牧師から高級バッグを受け取ったとされる動画が公開され、波紋が広がっている。疑惑への対応を巡り、尹氏と与党「国民の力」トップの韓東勲非常対策委員長のあつれきが表面化。4月に総選挙を控える中、野党は追及を強めている。
 動画は、昨年11月にインターネットメディアが公開。2022年9月、在米韓国人の牧師から高級ブランド「ディオール」のバッグを手渡される様子が隠しカメラで撮影されたものだった。
 大統領府は、批判勢力による「政治工作」だと主張する一方、最大野党「共に民主党」は、賄賂だと非難。金氏には、知人の会社の株価を操作したとされる別の疑惑もあり、野党は攻勢を強めた。大統領の夫婦仲の良さは有名で、金氏は尹氏の政策決定に影響力を持っているとみられている。
 批判の声は与党内からも上がった。韓氏が任命した非常対策委員の一人は1月、浪費ぶりが庶民の反発を招き、フランス革命で処刑された国王ルイ16世の妃マリー・アントワネットに例え、金氏の謝罪を要求。韓氏自身も「国民が心配するに値する部分がある」と述べたことで、大統領府が韓氏に辞任を求める事態に発展した。
 尹氏と韓氏の対立は沈静化したもようで、金氏を批判した非常対策委員も謝罪。与党では、金氏擁護へと流れが変わった。ただ、国民の視線は厳しく、YTNテレビが1月24日に公開した世論調査結果によると、「尹氏の説明が必要だ」との回答は69%に上っている。
 複数の韓国メディアによると、尹氏側は旧正月の連休前の今月7日に、事前収録した尹氏のインタビューをテレビ放映する方向で検討している。その中で、尹氏が自ら疑惑について国民に釈明する可能性があるという。 

海外経済ニュース