財政・食料など骨太議論を=中長期の課題見据え―経済界【25参院選】 2025年07月03日 16時29分

(写真左から)日本商工会議所の小林健会頭、経団連の筒井義信会長、経済同友会の新浪剛史代表幹事
(写真左から)日本商工会議所の小林健会頭、経団連の筒井義信会長、経済同友会の新浪剛史代表幹事

 3日に公示された参院選を巡り、経済界からは、各党の主張が家計への現金給付や消費税の暫定的な減税といった短期的な施策に偏りがちなことをけん制する声が上がっている。社会保障の持続可能性を高めるための財政運営、食料を安定的に確保できる体制づくりといった「骨太の政策論議」(経団連の筒井義信会長)を求める声が相次いだ。
 筒井氏は6月下旬の記者会見で「国民目線では物価高対策が一番の争点になる」と理解を示した上で、「6年と任期が長い参院議員の選挙では、中長期的な(政策の)取り組みでも論戦してほしい」と注文を付けていた。
 トランプ米政権の高関税政策などで世界経済の先行き不透明感が強まっている。筒井氏は「自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化、産業の競争力強化に向けたイノベーション推進」なども論点とするよう求めた。
 経済同友会は主要各党に実施したアンケートなどに基づき、全体として「将来ビジョンを掲げるなど昨年の衆院選に比べ前進も見られる」と一定の評価を下している。
 ただ新浪剛史代表幹事は「各党の政策は分配や短期的対応に偏っている」と批判。日本が直面する人手不足の課題克服に向けては「潜在成長率を高める真の働き方改革、外国人との共生の構築が重要な論点になる」と指摘した。
 日本商工会議所の小林健会頭も「減税か給付かといった目先のポピュリズムに走っている」と参院選に向けた各党の対応を批判していた。その上で「中小企業による継続的な賃上げを実現するための、成長志向の経済を実現する政策」についての討論を促した。またエネルギーや食料を含む経済安全保障の確立に向け、「真正面からの論戦が欠かせない」と強調した。 

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