米、早期合意へ圧力=日欧は拙速な妥協回避―関税交渉 2025年05月24日 14時48分

【ワシントン、ブリュッセル時事】トランプ米政権は日本や欧州連合(EU)といった主要貿易相手との関税交渉で、早期合意を目指し、圧力を一段と強めている。トランプ大統領はEUからの輸入品に6月1日から50%の関税を課す方針を表明した。一方、日欧は共に「守らなければならない国益がある」(赤沢亮正経済再生担当相)と、交渉を進めつつも、拙速な妥協は避けたい意向がにじむ。
「(EUとの)ディール(取引)など求めていない。ディールは決まり。それは50%だ」。トランプ氏は23日、ホワイトハウスで記者団に対し、EUを突き放してみせた。
背景には、EUとの交渉が遅々として進んでいないことへの不満がありそうだ。ベセント財務長官は米テレビのインタビューで、50%関税により「EUの尻に火を付けたい」と説明した。
EUのシェフチョビッチ欧州委員(通商・経済安全保障担当)は23日、米側との電話協議後、SNSに「われわれの利益を守る準備ができている」と投稿した。交渉による解決を最優先としながらも、950億ユーロ(約15兆4000億円)相当の米国製品に報復関税を課す案も打ち出し、硬軟両様で米国と向き合う。
米国は日本に対しても、交渉に「迅速に取り組み続けるよう促す」(当局者)と、早期合意を迫る。ただ、赤沢氏は米側との閣僚級協議後、6月半ばの日米首脳会談での合意を念頭に置きつつも、「期限を切ると、期限を抱えている方が負ける」と強調した。
主要貿易相手への高関税は、米経済に物価高や景気悪化リスクをもたらしており、米側が合意を急ぐ理由とみられる。先行き不透明感から金融市場は不安定な動きを続け、企業も投資を手控える。英調査会社オックスフォード・エコノミクスは「繰り返される関税の脅しは、政策の不透明感を高いままにする」と警告した。