中国・湾岸諸国と首脳会議=トランプ関税への対応議論―ASEAN 2025年05月24日 14時14分

マレーシアのアンワル首相=14日、モスクワ(EPA時事)
マレーシアのアンワル首相=14日、モスクワ(EPA時事)

 【クアラルンプール時事】東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が26日、マレーシアの首都クアラルンプールで開かれる。27日にはサウジアラビアなどが加盟する湾岸協力会議(GCC)と中国も参加する初の合同会議を開催し、トランプ米政権による高関税政策などを議論する。
 米国の政策で世界経済の不確実性が増す中、ASEANには多角的な連携を強化する狙いがある。李強首相が参加する中国にとっても、自由貿易を守る立場をアピールし、東南アジアやアラブ諸国への影響力を拡大する好機となる。
 GCCを構成するペルシャ湾岸地域の6カ国は、オイルマネーを元手に経済発展を遂げた。米国もトランプ大統領が14日、2期目就任後初の本格外遊先となったサウジで、GCC首脳らの会合に参加するなど、関与を強めている。
 米国が示した相互関税で、ASEAN諸国の税率はカンボジアが49%、ベトナムが46%、タイとインドネシアが30%台と高水準。各国が米国と個別に交渉する一方、今年の議長国マレーシアのアンワル首相は「ASEANとして結束して対応することが必要だ」と強調し、26日の加盟国首脳会議で話し合う方針を示した。
 助川成也国士舘大教授(国際経済)は「ASEAN各国は米中対立の影響で、中国に代わる投資先として『漁夫の利』を得てきた」と分析。「米国から中国製品の迂回(うかい)輸出拠点と見られたことが高関税につながっており、『自国産』と証明する厳格なルール作りが必要だ」と指摘した。
 26日の会議では、2021年のクーデター後、国軍と抵抗勢力の内戦が続くミャンマー情勢も議題となる。同国では今年3月の大地震で、3700人以上が死亡するなど甚大な被害が出た。
 アンワル氏は地震後、ミャンマー国軍トップおよび民主派組織「国民統一政府(NUG)」首脳と相次いで会談。被災者支援を優先するため、双方に停戦を求めたとみられるが、国軍は空爆を続けており紛争解決の兆しは見えない。 

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