トランプ氏、マスク氏にいら立ち=大型減税法案巡り確執―米 2025年06月05日 14時11分

米国の実業家イーロン・マスク氏(左)とトランプ大統領=3月22日、東部ペンシルベニア州フィラデルフィア(AFP時事)
米国の実業家イーロン・マスク氏(左)とトランプ大統領=3月22日、東部ペンシルベニア州フィラデルフィア(AFP時事)

 【ワシントン時事】複数の米メディアは4日、トランプ大統領が先週政権を去った実業家イーロン・マスク氏へのいら立ちを募らせていると報じた。マスク氏がトランプ氏肝煎りの大型減税関連法案への批判を強めているためで、昨年の大統領選以来続いた大富豪との「蜜月」に、早くも陰りが見え始めた。
 マスク氏は3日、減税法案が債務を膨張させるとして、SNSで「忌まわしく、唾棄すべきだ」と非難。4日には「廃案にしろ」と踏み込んだ。法案に電気自動車(EV)促進策の撤回が盛り込まれたことから、同氏が経営するEV大手テスラへの影響を懸念したと指摘されている。
 マスク氏をさらに怒らせたのは、航空宇宙局(NASA)長官候補だった実業家ジャレッド・アイザックマン氏について、トランプ氏が指名を取り下げたことだ。アイザックマン氏はマスク氏と親しく、同氏が強く推薦した候補だった。トランプ氏は取り下げの理由を明かしていないが、野党民主党への献金実績などが問題視されたとみられる。
 トランプ氏はこれまでのところ、マスク氏の批判に沈黙を保っている。ただ、ジョンソン下院議長は4日、「マスク氏の手のひら返しを大統領は喜んでいない」と記者団に語った。
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「トランプ氏は寛容だが、侮辱は忘れない」とするホワイトハウス関係者の発言を引用。一方、NBCテレビは、大口献金者でもあるマスク氏との対立に、トランプ氏は慎重だと伝えた。
 民主党は政権とマスク氏の「内輪もめ」を歓迎している。マスク氏をかねて批判してきた上院トップのシューマー院内総務は「想像もしなかったことだが、(法案に反対する)イーロン・マスクに同意する」と記者団に述べた。 

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