【2024年10月30日~31日】総裁定例記者会見(一部抜粋・要約) 2024年11月01日 18時55分
総裁記者会見一部抜粋・要約(2024年11月1日)
1.今回の決定内容について
- 無担保コールレート・オーバーナイト物を0.25%程度で推移するよう促す、という金融市場調節方針を維持することを全員一致で決定
- わが国の景気の現状は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復していると判断した。先行きについては、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。
- 物価については、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰してきているものの、賃金上昇等を受けたサービス価格の緩やかな上昇が続くもとで、足元は2%台半ばとなっている。先行きは、2024年度に2%台半ばとなった後、25年度および26年度は、概ね2%程度で推移すると予想している。前回の展望レポートからの比較でみると、25年度の見通しがいくぶん下振れているが、これは、このところの原油等、資源価格下落の影響などによるもの。
- 消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想される。見通し期間後半には、物価安定の目標と概ね整合的な水準で推移すると考えている。
- リスク要因は、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高く、金融・為替市場の動向や、そのわが国経済・物価への影響を十分注視する必要がある。特にこのところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある。
- 今後の金融政策運営について、金融政策運営は、先行きの経済・物価・金融情勢次第だが、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、今回の展望レポートで示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えている
- 今回の会合では、多角的レビューの取りまとめに向けた討議も行った。次回12月の金融政策決定会合において、引き続き、議論を行ったうえで、内容を取りまとめ、会合後に公表することを考えている。
2.次の利上げについて
- 金融政策運営については、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えている。そのうえで、米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融資本市場の動向を十分注視し、わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要があると考えているす。見極めに必要な時間や利上げのタイミングについて予断は持っておらず、今後、毎回の決定会合において、その時点で利用可能な各種のデータや情報から、経済・物価の現状評価や見通しをアップデートしながら、政策判断を行っていく方針。
- 為替相場については、その水準や評価について具体的なコメントは差し控えたいと思うが、もちろん経済・物価に大きな影響を与えるものではあるので、為替円安の物価への影響を考える際には、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある点には、引き続き、留意する必要があると考えている
3.米国経済について
- 前回会合以降、9月の雇用統計が市場予想を大幅に上回るなど、良好な経済指標がみられている
- もっとも、今後の米国経済を巡っては、これまでの利上げが経済・物価に及ぼす影響など、不透明な部分がまだなお大きいと判断しており、その動向を注視していく必要があると考えている
- また、アメリカの大統領選挙後の新政権の政策運営、それがわが国に及ぼす影響ですが、これは、他国の政治情勢に関わるものなので、具体的なコメントは差し控えたいと思う
4.時間的余裕という表現について
- この表現を使い始めたのは8月に入って以降だと思う。当時の、特に米国の弱い雇用統計、予想以上に弱かった雇用統計、こうしたものに影響されて、マーケットが非常に荒い動きになったというようなことを、非常に重要な現象だし今後の日本経済をみる際にも重要なリスクと判断して、ある意味他のリスク以上にここについて注意深く検討していかないといけないと、この姿勢を注意深く検討していくという意味で、時間的余裕を持ってみていくという表現で表した。
- 現状、その以降の動きをみていると、データが少しずつ改善し、市場も少しずつ安定を取り戻し、更に米国の統計に限ると、ここ 1 か月くらいに出ている統計についてはかなり良いものが続いている。それでもなお、完全に安心できるというところまではいっていないんで、先ほどの展望レポートの最後のところにある文章には、米国経済をはじめとする世界経済の動きという表現を付け加えて、ここのリスクをまだ重視してみてるという姿勢は貫いてはいるが、リスクの度合いは少しずつ下がってきているので、もう少しみて今のようないい動きが続けば、普通のリスクと同等のところになる。そういう意味で、このリスクに光を強く当てて、時間的余裕を持ってみていくという表現は不要になるのではないかというふうに考えて、今日も使ってはいない。
[ゴールデン・チャート社]
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■参考資料(外部サイト)
総裁記者会見要旨(2024年10月30日、31日開催分)(日本銀行)