年内に2回の利上げを想定=FOMCの経済見通し・FF金利予想 2023年06月16日 10時05分

[ゴールデンチャート社] 2023年6月16日

 米連邦公開市場委員会(FOMC)は6月14日、利上げを見送り、フェデラルファンド金利(FF金利)を5~5.25%に据え置く決定をしました。また、FOMCは委員会参加メンバーが提示した「経済・政策金利見通し」を公表しました。それによると、2023年末のFF金利の予測中央値は5.6%で、前回3月の予測値から0.5%上方修正されています。経済情勢が現状のまま推移すれば、年内に0.25%の利上げが2回実施されることが想定されます。年内、FOMCは4回開催予定(7月、9月、11月、12月)ですが、次回7月25日、26日の会合での決定内容が注目されます。

 FOMCは今回の経済見通しの中で、2023年の実質GDP成長率の予測値を1.0%と前回3月時点から上方修正、失業率は4.1%に下方修正、雇用の増加が堅調な中、米国経済の先行きに楽観的な見方を示しました。問題なのは、インフレ率で、FOMCが特に注視しているPCE(個人消費支出)物価指数の2023年末の予測中央値は3.2%と若干下方修正されたものの高止まり、変動が激しい食品とエネルギーを除いたコアPECは3.9%と上方修正されています。直近のコアPCEでも、依然として改善の兆候は見えていません。パウエル議長は記者会見のスピーチの中で、「インフレ率は昨年半ば以降、いくらか緩やかになっていますが、インフレ圧力は依然として高く、インフレ率を2%に戻すプロセスは長い道のりにあります」と述べています。今後のCPI(消費者物価指数)、PCE物価指数の動向が注目されます。

 FF金利予測値の分布を表わすドットプロットは、2024年、2025年のところで上下に拡散していますが、この間、大筋で利下げが進行していくとみられるものの、参加メンバーの見解は大きく分かれていることが読み取れ、利下げの軌道がどんな道筋となるか依然として不透明感があります。

    ※ FRB発表のProjection Materials からゴールデンチャート社が作表

(H・N)

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