「速いペースで大幅なバランシート縮小を」=FOMC議事録 2022年02月17日 12時03分
[ゴールデンチャート社] 2022年2月17日
2月16日、米連邦準備制度理事会(FRB)は1月25、26日の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公表しました。今回のFOMCでは、米国経済の現状についての認識を共有したうえで、議論はバランスシートの縮小にフォーカスが当てられました。
フェデラルファンド金利(FF金利)利上げ開始が次回のFOMC(3月15日、16日)で決定されることが確実視される情勢となり、バランスシート縮小開始は5月のFOMCで決議される可能性が高まっています。
バランスシート縮小については、開始時期、縮小の方法、ペース、最終的に保持すべき資産のレベル、FF金利利上げペースとのバランスなど複雑なスキームとなることが想定されています。議論すべき点は多岐に渡りますが、今回の議事録からその一端が垣間見られます。その中でFOMCは「速いペースでかつ大幅なバランスシート縮小が必要である」との見解を示しています。
FOMC議事録要旨
■金融情勢と公開市場操作
- 米国債利回りは、実質利回りの上昇を受け全般的に上昇した。今後想定される金融引き締やコロナウイルス感染拡大への懸念の緩和が利回り上昇の要因としてあげられている。S&P500指数は(前回のFOMCの時点から)約5%下落した。金融引き締め政策の意味合いや地政学的リスクの高まりに対する懸念が、直近の急激な値動きを招いたとみられる。
- 市場とのコミュニケーションの中で、労働市場が依然逼迫状況にあることとインフレ圧力の高まりを示すデータを背景に、市場参加者は従来予想していたよりも早期かつ迅速な金融緩和政策の解除を示唆していると受け止めている。
- FF金利の動向に対する想定は「早期利上げ」にシフトし、金利先物は3月のFOMCでフェデラルファンド金利の目標レンジが引き上げられることを織り込んでいた。
- 12月FOMC議事録の公表後、米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシートの見通しに関する見解が変化し、長期金利に影響を与えたようだ。
■バランスシートの規模縮小のための原則
- 当委員会はバランスシートの縮小プロセスはFF金利の目標レンジを引き上げるプロセスが始まった後に始めるのが適切であると判断した。
- 当委員会の参加者はバランスシートの縮小のタイミングとペースに関する詳細は今後の会合で決定されることに同意したが、現在の経済・金融情勢は2017年から2019年のバランスシート縮小期間よりも速いペースでバランスシートの縮小を必要とする可能性が高いと、多くの参加者が指摘した。
- 参加者は、現在の連邦準備銀行の高水準の証券保有を考慮すると、バランスシートの規模の大幅な縮小が適切である可能性が高いとの見解を示した。
- 当委員会は主にSOMA(システムオープンマーケットアカウント)で保有する証券から受け取る元本の再投資額を調整することで、連邦準備銀行の証券保有を長期的に削減すべきことに合意した。また、SOMA は長期的には主に財務省証券を保有すべきとの意見で一致した。
- 当委員会は、長期的には潤沢な準備金体制の中で、金融政策を効果的に実施するために必要な額の証券保有を維持する意向である。
(H・N)
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