15%関税、日本車に有利?=米業界「悪い合意」と批判 2025年07月26日 15時38分

ゼネラル・モーターズ(GM、上)とフォード・モーターのロゴ(AFP時事)
ゼネラル・モーターズ(GM、上)とフォード・モーターのロゴ(AFP時事)

 【ニューヨーク時事】日米が自動車関税の15%への引き下げで合意したことで、米市場で日本車が有利になるとの見方が出ている。現状で25%の関税がかけられているメキシコやカナダからの輸入割合が高い米ゼネラル・モーターズ(GM)などへの打撃が相対的に大きくなる恐れがあるためだ。米業界団体からは「悪い合意だ」と批判の声が上がっている。
 GMなど大手3社「ビッグスリー」を代表する米自動車貿易政策評議会(AAPC)のマット・ブラント会長は、日本からの輸入車の方が、米国産部品の割合が高い北米製自動車よりも関税率が低いのは「米国の産業と自動車労働者にとって不利益だ」と非難した。3社がメキシコとカナダで生産している車の多くは、米国製のエンジンや部品を搭載する。
 米フォード・モーターのマーク・フィールズ元最高経営責任者(CEO)は米テレビのインタビューで、日米合意は日本メーカーの「勝利だ」と指摘。一方、米大手の車が日本市場に今より参入できるようになったとしても「われわれの製品は日本人にあまり好まれていない」と、合意がフォードなどにもたらす効果を疑問視した。
 米大手の業績は関税の悪影響にさらされており、メキシコやカナダなどとの交渉進展に対する期待は大きい。GMは22日発表の2025年4~6月期決算で、純利益が前年同期比35%減少したと報告。関税で11億ドル(約1600億円)の打撃を受けた。通期では40億~50億ドルに達し、その大半はメキシコとカナダからの輸入で発生するという。
 GM幹部は決算説明会で、米政権が各国と関税引き下げで合意することが「重要だ」と強調。協定締結が進めば「関税の費用は下がっていくと確信している」と述べた。 

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