日銀、政策金利据え置き=総裁「物価いったん足踏み」―米関税リスク警戒、2%達成先送り 2025年05月01日 15時50分

金融政策決定会合後に記者会見する日銀の植田和男総裁=1日午後、日銀本店
金融政策決定会合後に記者会見する日銀の植田和男総裁=1日午後、日銀本店

 日銀は1日の金融政策決定会合で、政策金利と位置付ける短期金利の誘導目標を現行の「0.5%程度」に2会合連続で据え置いた。植田和男総裁は会合後の記者会見で、トランプ米政権の高関税政策が国内経済に悪影響を与える恐れがあるとして、一時的な要因を除いた基調的な物価の上昇が「いったん足踏みする」との見方を示した。
 植田氏は今後の金融政策運営について「物価が伸び悩んでいる時に無理に利上げすることは考えていない」と強調。会見を受け、外国為替市場で早期の利上げ観測が後退し、円安・ドル高が進んだ。
 同日公表した最新の景気予測「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」は、2%の物価上昇目標が持続的・安定的に実現する時期を、2027年度までの見通し期間後半へ先送りした。これまでは26年度までの見通し期間後半としていた。
 ただ、植田氏は「やや後ずれするが、利上げの時期が必ずしも同じように後ずれするわけではない」と表明。米関税政策が二転三転する中、先行き不安が払拭されれば、利上げを再開する考えを示した。
 実質GDP(国内総生産)成長率の見通しについては、25年度を前年度比0.5%(1月時点は1.1%)に下方修正。生鮮食品を除く消費者物価指数の上昇率は、25年度が2.2%(同2.4%)、26年度は1.7%(同2.0%)に引き下げた。27年度は1.9%に加速すると予測し、植田氏は「賃金と物価の好循環は継続する」との見方を維持した。
 米関税政策の悪影響について、植田氏は「海外経済が減速し、企業収益が下押しされ、成長ペースは鈍化する」と分析。さらに「冬のボーナスや来年の春闘に影響を及ぼす可能性がある」と警戒感を示した。 

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