岸田首相、総裁選にらみ地方行脚=山梨で視察・懇談、政策訴え 2024年06月29日 17時08分

意見交換の場であいさつする岸田文雄首相=29日午後、山梨県韮崎市の旭陽電気韮崎工場(代表撮影)
意見交換の場であいさつする岸田文雄首相=29日午後、山梨県韮崎市の旭陽電気韮崎工場(代表撮影)

 岸田文雄首相(自民党総裁)は29日、山梨県を訪れ、農業施設や工場の視察、自民党県連幹部との懇談を行った。9月に想定される党総裁選に向けた全国行脚を事実上開始した。政権の実績や新たな政策課題に取り組む姿勢を訴え、再選に不可欠な党員の支持固めを図る狙いがある。
 首相は北杜市で、人工知能(AI)など先端技術を活用した「スマート農業」に取り組む企業を訪問し、トマト栽培の現場を視察。説明を受けた首相は「本当にみずみずしい」と話し、収穫されたトマトやイチゴを試食した。
 視察後、首相は記者団に対し、スマート農業の拡大に向け「来年度予算より新しい交付金の創設を考えていく。検討を加速していきたい」と表明した。
 韮崎市にある、半導体部品の製造会社の工場も訪れ、同社幹部らと意見交換。中堅企業の賃上げや設備投資を支援する政府の方針を説明した。
 視察に先立ち、甲府市のホテルで県連幹部らと懇談した。出席者によると、首相は「政治資金の問題で迷惑をかけた。しっかり信頼回復できるよう取り組む」と述べ、子育て支援や地域振興に力を入れる考えを強調。総裁選に関する発言はなかったという。
 首相は7月1日には能登半島地震の被災地である石川県も訪れる。総裁選では党員票の獲得が重要になることを見据え、地方行脚を今後本格化させる。賃上げや物価高対策などの実績を説明し、低迷する内閣支持率の反転につなげたい考えだ。
 ただ、首相を取り巻く環境は厳しさを増している。菅義偉前首相が首相退陣を事実上要求し、知名度が高い石破茂元幹事長、河野太郎デジタル相ら「ポスト岸田」候補らも動き始めた。総裁選に向けた党内の駆け引きは活発になりそうだ。 

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スマートグラスの説明を受ける岸田文雄首相(左)=29日午後、山梨県韮崎市の旭陽電気韮崎工場(代表撮影)
スマートグラスの説明を受ける岸田文雄首相(左)=29日午後、山梨県韮崎市の旭陽電気韮崎工場(代表撮影)
トマトを試食する岸田文雄首相(中央)=29日午後、山梨県北杜市のアグリサイト(代表撮影)
トマトを試食する岸田文雄首相(中央)=29日午後、山梨県北杜市のアグリサイト(代表撮影)
関係者の説明を受けながらトマトの生育状況を視察する岸田文雄首相=29日午後、山梨県北杜市のアグリサイト(代表撮影)
関係者の説明を受けながらトマトの生育状況を視察する岸田文雄首相=29日午後、山梨県北杜市のアグリサイト(代表撮影)

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