セブン&アイ、30年度までに3.2兆円投資=25年2月期、海外不振で純利益2割減 2025年04月09日

 セブン&アイ・ホールディングスが9日発表した2025年2月期連結決算は、純利益が前期比23.0%減の1730億円だった。稼ぎ頭だった海外コンビニ事業の不振が主因。記者会見したスティーブン・ヘイズ・デイカス次期社長は30年度までに3兆2000億円を成長投資に振り向ける方針を示した。
 本業のもうけを示す営業利益は21.2%減の4209億円。売上高に相当する営業収益は4.4%増の11兆9727億円だった。国内コンビニ事業は物価高騰による消費者の節約志向への対応の遅れで顧客離れを招いていたが、低価格商品の導入などで客数は改善。ただ、原材料高などが響き粗利益率は悪化、営業利益が減益となった。
 26年2月期はイトーヨーカ堂など非中核事業を束ねる中間持ち株会社ヨーク・ホールディングス(HD)の株式の過半を売却する影響で、営業収益が10.1%減の10兆7610億円と予想する。一方、不採算店閉鎖で構造改革にめどがついたとして、純利益は47.3%増の2550億円となる見通しだ。
 業績不振が続く中、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案も受けており、企業価値の向上は急務だ。同社はヨークHDの一部株式売却のほか、26年下半期までに北米コンビニ事業を上場させる方針を掲げる。
 成長投資は設備投資やM&A(合併・買収)向けを想定。今夏に示す中期経営計画で詳細を明らかにする方針だ。
 株価向上策としては、ヨークHDの株式売却で得た資金を活用し、25年度中に最大6000億円の自社株買いを行う。これを含め、30年度までに計2兆円規模の自社株買いを実施する。デイカス氏は「業績回復に大きな自信を持っている」と強調した。 

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オンラインの決算記者会見に臨むセブン&アイ・ホールディングスのスティーブン・ヘイズ・デイカス次期社長=9日午後
オンラインの決算記者会見に臨むセブン&アイ・ホールディングスのスティーブン・ヘイズ・デイカス次期社長=9日午後

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