ガソリン補助金、再延長検討=物価高・賃上げ対策で補正―政府 2023年09月14日

 14日に本格始動した第2次岸田再改造内閣は、物価高で個人消費が落ち込む事態を避けるため、経済対策の取りまとめを急ぐ。年末までの延長が決まっているガソリン補助金は、電気・ガス料金に対する支援と合わせて年明け以降も継続することを検討する。構造的な賃上げの実現に向けた補助金や優遇税制なども来月中に具体化し、財源の裏付けとなる2023年度補正予算案を年内に編成する。ただ、歳出規模が膨らめば、財政健全化は一段と遠のく。
 経済対策は(1)物価高への対応(2)構造的な賃上げと投資拡大(3)デジタル技術の活用など人口減少を乗り越えるための社会変革(4)災害対策―が柱。持続的な賃上げを後押しするためのリスキリング(学び直し)促進、「日の丸半導体」再興に向けた産業支援策も盛り込まれる見通しだ。新藤義孝経済再生担当相は14日の就任会見で「思い切った内容の経済対策を検討していきたい」と強調した。
 一方、衆院解散・総選挙をにらんで与党の歳出圧力が強まっており、先進国で最悪の状況にある財政の健全化と経済成長の両立に苦慮するのは必至だ。6月に決定された経済財政運営の基本指針「骨太の方針」は「歳出構造を平時に戻していく」と明記したが、コロナ禍以降は数十兆円規模の補正予算編成が恒常化しており、与党内では今回も大規模な対策を求める声が上がっている。
 内閣府の推計によると、日本経済の潜在的な供給力と需要の差を表す「需給ギャップ」は4~6月期に3年9カ月ぶりに需要超過に転じており、景気刺激策を続ければ物価高を助長するリスクを伴う。年末にかけては、結論を先送りしていた少子化対策や防衛力強化のための財源確保という難題も立ちはだかり、続投する鈴木俊一財務相は「今後の課題の方が今までよりも難しい面がある」と厳しい表情で語った。 

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