バス、タクシー支援へ実態調査=経営や労働環境、地域別に確認―国交省方針 2023年09月09日

 国土交通省は2024年度、バス、タクシー事業者の経営状況や運転手の労働環境を地域別に確かめる実態調査に乗り出す方針だ。結果を基に経営改善や運転手不足解消に向けた支援策を検討し、過疎地などの移動手段確保につなげたい考え。同年度予算概算要求に調査費として3100万円を盛り込んだ。
 人口減少の影響などで国内のバス、タクシー事業者の経営状況は厳しさを増している。運転手の減少も続いており、タクシー運転手は法人と個人合わせピークの04年度は42万8303人だったが、22年度は20万9131人に減った。かつて10万人以上いた乗り合いバスの運転手も、21年度は7万4340人まで落ち込んでいる。
 実態調査では、人口規模を踏まえ地域別に、事業者の収支や債務の状況を分析。時間外労働の上限規制が適用される24年4月以降の運転手の数や労働時間を調査し、運行ダイヤや勤務シフトに及ぼしている影響も確かめる。
 キャッシュレス決済やスマートフォンのアプリによる配車など、デジタルトランスフォーメーション(DX)で労働力不足を補う取り組みの効果分析も行う方針だ。
 こうした調査の結果を踏まえ、具体的な支援策を検討する。これまでも運転手の採用や新しい従業員の2種免許取得に必要な費用などを補助してきたが、労働環境の改善やDXに対する新たな支援方法を模索する考えだ。 

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