「トヨタ方式」に弱点=稼働停止、生産回復に冷や水 2023年08月30日

 トヨタ自動車の国内全14工場が昨年に続き、全面的な稼働停止に追い込まれた。半導体不足の影響が和らぎ、同社が30日発表した7月の国内生産台数は前年同月比4割増の30万台と急ピッチの回復が続く中、冷や水を浴びせられた格好だ。生産現場の無駄を徹底的に排除し、部品在庫を最小限に抑える「トヨタ生産方式」の弱点が浮き彫りとなった。
 トヨタは、必要な部品を必要な時に必要な量だけ調達する「ジャスト・イン・タイム」の手法に代表される生産方式で、世界最大の自動車メーカーに成長。トヨタ方式は今や世界的なモデルにもなっている。ただ、生産効率化やコスト削減につながる強みの一方、部品調達に支障が生じると完成車の生産が全面的にストップするリスクも抱えている。
 昨年は取引先部品メーカーの小島プレス工業(愛知県豊田市)がサイバー攻撃を受け、国内全工場が丸1日稼働停止に追い込まれた。この際には約1万3000台の生産に影響が出た。今回も1万4000台前後の影響が出たとみられる。
 トヨタは取引先も含めたセキュリティー対策の強化を進めてきたが、今回は自社システムで不具合が発生した。系列メーカーからは「東海地域は大震災も想定されており、『ジャスト・イン・ケース』(万が一の備え)も考えないといけない」と懸念する声も上がっている。 

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