物価や賃金「動きだしつつある」=デフレ脱却へ好機―経済財政白書 2023年08月29日

 後藤茂之経済財政担当相は29日の閣議に、2023年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。バブル崩壊後の1990年代から断続的に続いてきたデフレ経済について、「(長年停滞してきた)わが国の物価や賃金が動きだしつつある」と指摘。デフレ脱却の好機を見逃してはならないと訴えた。
 デフレは企業の投資や賃上げの抑制などを通じ日本経済の低成長の要因となってきた。足元ではロシアのウクライナ侵攻や円安を背景に物価が高騰し、23年1月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比4.2%上昇と41年4カ月ぶりの伸びとなった。
 ただ、この物価高騰はエネルギーや食料など輸入物価の上昇が主因だ。白書ではそれらに左右されにくく、需給や賃金の状況に連動しやすい旅行や教育などサービスの価格が緩やかな上昇率にとどまっていることなどを考慮し、デフレ脱却には至っていないと判断した。 

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