使用済み、同じ製品に再生産=「水平リサイクル」調査へ―メーカーと産廃業の連携促進・環境省 2023年08月27日

 環境省は2024年度、産業廃棄物に含まれるプラスチックや金属などが製造業者によってどのようにリサイクルされているか実態調査に乗り出す。使用済み製品を同じ製品に再生産する「水平リサイクル」を進める一環。メーカーが再生原料を入手するのに産廃処理業者との協力は不可欠で、両者が効率的な資源循環に向けてどう連携しているかを探る。
 同省は24年度予算概算要求に調査の関連経費を盛り込む。
 近年、資源ごみから不純物を取り除く技術が発達し、使用済み製品を同じ用途のものに再生する水平リサイクルが普及しつつある。廃ペットボトルから繊維やトレーなど別の物を製造する「一方通行」のリサイクルと異なり、製品の製造工程などで排出される二酸化炭素(CO2)の削減にもつながるとして注目されている。
 同省は水平リサイクルを含め、メーカーと産廃業者の連携を促す新制度を検討するため、有識者検討会で7月、議論に着手。早ければ来年の次期通常国会に関連法案を提出する考えだ。
 飲料メーカーでは近年、廃ペットボトルからの再生樹脂でペットボトルを作る動きが出ている。家電業界でも再生プラを利用した製品の発売が始まった。海外の大手衣料メーカーは、22年秋冬シーズンからリサイクル素材の使用率を90%以上としている。
 金属リサイクルの分野でも、自動車メーカーが使用済みアルミホイールやバンパーのスクラップなどを回収・再生利用している。
 こうした産廃リサイクルでは、回収した資源をメーカー側の要望に応じた形状に加工する産廃業者の技術力が重要となる。環境省は新制度を通じ、メーカーとの連携に積極的な産廃業者を支援する方針で、実態調査の結果を議論に生かしたい意向だ。 

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