日本のEV、巻き返しへ=大手メーカー、開発加速に本腰―電池など技術革新カギ 2023年08月15日

 電気自動車(EV)の世界市場での巻き返しに向け、国内自動車大手が開発加速へ本腰を入れている。米欧や中国のメーカーに席巻されたままでは国内自動車産業が衰退するとの危機感がある。ガソリン車で築いた「日の丸ブランド」をEVでも浸透させるには、電池などでの技術革新がカギを握りそうだ。
 「強い覚悟を持って魅力あるEVを造っていきたい」。トヨタ自動車の佐藤恒治社長は力を込める。トヨタは4月、2026年までにEVで10車種を展開し、年間150万台を販売する新たな目標を発表。組織体制も強化した。
 調査会社マークラインズによると、22年の世界EV販売台数では、米テスラが126.8万台と首位。2位は中国の比亜迪(BYD)、3位以下にも欧米や中国などのメーカー名が並ぶ。トヨタは日野自動車、ダイハツ工業を含めたグループ全体で2万台、シェアはわずか0.3%。脱炭素社会の実現に向け本格的なEV時代が迫る中、電池での技術革新など競争力強化は待ったなしの課題だ。
 打開策が求められるのは他のメーカーも同じ。ホンダは40年までに世界販売のすべてをEVと、水素で走る燃料電池車(FCV)にする。SUBARUは今後5年間でEV8車種をそろえるほか、米国で現地生産も進める方針だ。
 10年に世界初の量産型EV「リーフ」を発売した日産自動車は、今秋に新たな戦略を発表する。内田誠社長は7月の決算記者会見で、「品ぞろえを強化し、競争力を高める」と表明。連合を組む仏大手ルノーのEV新会社に最大6億ユーロ(約950億円)を出資することも決めた。 

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