米欧利上げ、世界経済に影=「軟着陸」へ正念場―16日、G7財務相会議 2023年07月15日

 【ガンディナガル(インド西部)時事】先進7カ国(G7)は16日、インド西部のガンディナガルで財務相・中央銀行総裁会議を開き、米欧の利上げが実体経済に与える影響を巡って議論する。急ピッチの金融引き締めによって景気減速懸念が広がっており、世界経済を「軟着陸」させるためには正念場となる。ウクライナ侵攻に伴う物価高の悪影響が長引く中、世界経済のリスクについてどのようなメッセージを打ち出せるかが焦点だ。
 食料やエネルギーの価格高騰に伴う歴史的なインフレに直面し、米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年3月に、欧州中央銀行(ECB)は同7月に利上げを開始。主要政策金利は米国が5.0~5.25%、欧州は4.0%に達した。FRBは先月、年内にあと2回の利上げを示唆。ECBは景気の足踏みが続く中でも、「7月に利上げを継続する可能性は高い」(ラガルド総裁)との姿勢だ。
 米欧の金融引き締めは、世界経済のリスク要因として強く意識されている。行き過ぎれば個人消費や設備投資が冷え込みかねず、新興・途上国の輸出にも悪影響を及ぼす。また、先進国マネーが金利水準の高い米欧市場に回帰し、通貨安で対外債務が膨張して危機に陥るケースが相次ぐ。
 大規模緩和を続ける日本では、欧米との金利差拡大に伴う円安進行が物価高を招き、消費回復の重しとなったが、ここにきて賃金と物価がともに上昇する兆しが見え始めた。金融市場では、日銀が今月下旬の金融政策決定会合で長短金利操作の変動幅を拡大するなどの政策修正に踏み切るのではないかとの観測が浮上。今月に入り、円相場と長期金利が上昇した。
 日米欧の金融政策が転機を迎え、世界経済に与える影響に関心が集まっている。日本からは鈴木俊一財務相と植田和男日銀総裁が出席。17~18日に開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議でも、議論が交わされる見通しだ。 

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