最低賃金「1000円」焦点=30日、審議開始―厚労省 2023年06月29日

 厚生労働省は30日、中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)を開き、2023年度の最低賃金改定について審議を始める。物価高騰が続く中、岸田政権が目指す「全国平均1000円」が実現するかが焦点だ。前年度、全国平均額は31円の増額と過去最大の引き上げ幅で決着し、961円。今回39円以上引き上げられれば、初めて1000円の大台に到達する。
 最低賃金は、企業などが労働者に支払わなければならない最低限の時給。毎年夏に、中央最低賃金審議会で労働者、経営者それぞれの代表と有識者が協議し、引き上げ額の「目安」を提示する。目安の金額を参考に、都道府県ごとの審議会が新たな最低賃金の額を決める。
 消費者物価指数の上昇率はこのところ、前年同月比3%台、審議のベースとなる指数は4%前後と、依然として高い伸びを維持している。岸田文雄首相は今年3月、労働界と経済界の代表を交えた「政労使会議」で、最低賃金について「1000円の達成を含め、しっかりと議論いただきたい」と呼び掛けた。
 ただ、物価高は原材料費などの上昇を通じ、企業収益を圧迫している。中小企業で特に深刻な人手不足も人件費の増加につながっている一方、人材確保のためには避けられない面もあり、経営側がどの程度の増額を受け入れられるかが議論の鍵を握る。 

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