入・送金チェック、簡単に=インボイスと連携―銀行界 2023年06月04日

 10月に消費税のインボイス(適格請求書)制度が始まるのを控え、銀行界は取引先企業の決済に関する事務負担を軽減する仕組みを整えた。企業間で取り交わされる請求と決済のデータを結び付けるシステムで、入金や送金を簡単に確認できるようになる。新システムに対応する会計ソフトの開発も後押しし、普及を目指す。
 インボイスが導入されると、商品やサービスの売り手は、税率別に金額を示した請求書の発行を求められる。全国銀行協会傘下の全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)はこのほど、運営する送金システム「全銀EDI(ZEDI)」と、請求書をデータ化した「デジタルインボイス」を連動させる仕組みをつくった。
 これに対応する会計ソフトを使えば、企業はインボイスの情報を基に入金や送金の状況を確認することができる。企業の経理担当者は、口座に入金された金額と請求書の内容を照合する煩雑な作業が必要なくなる。人手不足が深刻化する中、特に中小・零細企業にとってメリットが大きそうだ。
 銀行界が推進する取引先企業のデジタル化にもつながるが、ZEDIに対応した会計ソフトは全体の数%程度と、まだ浸透していない。全銀ネットは中小ソフト会社などに対し、資金支援も含めて開発を後押ししている。 

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