G7首脳声明、「核なき世界」で具体的措置=ロシア撤退へ圧力、中国に要請―ウクライナ支援継続・広島サミット 2023年05月20日

 先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)は20日、広島市で2日目の討議を行い、首脳声明を発表した。岸田文雄首相が提唱した「核兵器のない世界」を究極的目標と位置付け、「軍縮・不拡散の取り組み強化へ具体的措置を取る」と強調。ロシアのウクライナ撤退に向けて圧力をかけるよう中国に要請するとした。ウクライナに対し「必要なだけ支援する」とも明記した。
 東アジア情勢に関しては「台湾海峡の平和と安定の重要性」を指摘し、軍事的圧力を強める中国をけん制した。経済安全保障分野では「デカップリング(分断)ではなくリスク低減に基づき経済安保政策を調整する」と記した。
 核軍縮・不拡散については「現実的、実践的かつ責任ある方法」を取るとした。
 首相は20日午後、インド、ブラジル、インドネシアなどの新興・途上国「グローバルサウス」を含め、招待した計8カ国の首脳、国連など国際機関のトップを会場のホテルで出迎えた。首相はG7と招待国首脳らによる拡大会合の冒頭、「世界が直面する複合的危機への連帯した対応について議論したい」と語った。
 拡大会合では食料危機について協議し、共同で成果文書を発表した。「世界が直面する食料安保危機の悪化に対応するため、緊密に協力する」ことが重要だと強調。ロシアの侵攻が、特に途上国で危機を悪化させていることに深い懸念を示した。ジェンダーやエネルギーも議題となった。
 G7は20日、経済安保に関する独立した首脳声明も発表。中ロの経済的威圧に対抗する枠組み「調整プラットフォーム」新設などを盛り込んだ。
 開幕した19日の討議では、核軍縮に向けて核戦力データの透明化を訴える「G7首脳広島ビジョン」を発表。中国を名指しし、「透明性を欠いた核戦力増強」に懸念を示した。首相は同ビジョンを「核軍縮に焦点を当てたG7初の独立首脳文書」と位置付けた。
 サミットには20日来日したウクライナのゼレンスキー大統領が、閉幕する21日に対面で参加。首相とも個別に会談する予定。
 首脳声明は21日に公表する予定だった。磯崎仁彦官房副長官は20日夜、記者団に「G7首脳のみによる討議が本日終了したので発表した」と説明。ゼレンスキー氏の出席と重なるため、注目が分散するのを避けた可能性もある。 

その他の写真

先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の主会場で記念撮影に応じるG7首脳、招待国首脳、国際機関トップ=20日午後、広島市(代表撮影)
先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の主会場で記念撮影に応じるG7首脳、招待国首脳、国際機関トップ=20日午後、広島市(代表撮影)
20日、広島空港に到着し、航空機内から出たウクライナのゼレンスキー大統領(AFP時事)
20日、広島空港に到着し、航空機内から出たウクライナのゼレンスキー大統領(AFP時事)

特集、解説記事