追加財源、年3兆円規模=少子化対策、段階引き上げ―医療保険上乗せ案浮上・政府想定 2023年05月18日

 政府が、岸田文雄首相が掲げる「異次元の少子化対策」で、年間3兆円規模の追加財源確保を想定していることが18日、分かった。政府は2024年度から3年間を子ども・子育て支援の集中期間とし、対策の充実に伴って段階的に財源を拡充する。財源では公的医療保険など社会保険料を上乗せ徴収する案も浮上しており、政府は来週から有識者を交え議論を本格化させる。
 政府は6月にまとめる経済財政運営の基本指針「骨太の方針」で、子ども・子育て予算倍増のための大枠を示す方針。17日の「こども未来戦略会議」(議長・岸田文雄首相)で、首相は少子化対策の具体策やその財源の考え方を示す「こども未来戦略方針」の策定を指示した。
 集中期間中の優先課題には、多子家庭への加算など児童手当の拡充や就労要件にかかわらず保育園へ通園しやすい制度の創設、育児休業給付を手取りの100%支給する制度などを盛り込む方向で調整している。4月に発足したこども家庭庁の今年度予算は4.8兆円で、児童手当拡充などの対策には集中期間の最終年度に年間3兆円規模の追加財源が必要と見込んだ。
 財源確保では、社会保障を中心とした歳出削減を徹底する。その上で足りない分については、国民に広く負担を求めるため、若年層から高齢者まで幅広い世代が保険料を出す公的医療保険に上乗せ徴収する案が浮上している。
 企業の拠出金増額や安定財源の確保までの間、国債で賄う案も検討課題に上る。一方で、消費税率引き上げについて、首相は「当面触れることは考えていない」と述べており、具体的な議論は行わない方針。
 追加財源の規模は対策の内容によって最終的に決まる。児童手当拡充では、政府・与党内で所得制限の撤廃を求める意見がある一方、経済界を中心に高額所得者を含め一律に支給する案に反対する声も根強い。 

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