家計負担、より重く=家電買い替えで節約も―電気料金値上げ 2023年05月16日

 東京電力など電力大手7社による家庭向け電気料金の値上げは、物価高にあえぐ市民生活により重くのしかかる。家庭や商店からは「さらに上がるのか」と諦めの声も。専門家は家電製品の買い替えや利用契約の変更などの節約術を提案している。
 東京都台東区でパン屋を営む篠塚信二さん(65)は、仕入れ表を差し出し「小麦が昨年2回値上がりし、卵の価格は2倍だ」と話した。パンの値上げに踏み切ったが、さらに電気代が上がれば「節約しても追い付かない」と嘆く。
 エネルギー価格の高騰を背景に、東電では標準家庭(電力使用量260キロワット時)の1カ月の料金が一時9126円まで上がった。国の負担軽減策で1月使用分から7000円前後に抑えられているが、6月の値上げで再び支出が増える。
 みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミストは、「食料品価格の上昇に電気料金の値上げが重なれば消費が冷え込む」と話す。9月に見直される国の支援策については「40年ぶりのインフレであり、今後も延長される可能性が高い」とみる。
 「夏前に自衛策を考えておきたい」と話すのはファイナンシャルプランナーの山内真由美さん。10年以上経過した冷蔵庫やエアコンは、省エネ性能の良い製品に買い替えることで消費電力の削減につながるという。
 家庭の契約アンペア数を引き下げて基本料金を節約する方法もある。ただ、同時に節電を意識しないとブレーカーが落ちやすくなる可能性がある。このため、「家族構成や使用状況に応じた見直しを検討してほしい」と注意を呼び掛けている。 

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電気代の値上げに頭を悩ませるパン屋店主の篠塚信二さん=16日午後、東京都台東区
電気代の値上げに頭を悩ませるパン屋店主の篠塚信二さん=16日午後、東京都台東区

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