中古車価格、正常化の兆し=新車生産回復で高騰一服 2023年05月13日

 中古車価格の高騰に一服感が出てきた。新車の生産回復で納車遅れの状況が改善し、中古車需要の減少が見込まれるようになったためだ。一時は新車価格を上回る「逆転現象」(中古車ディーラー)が話題となった中古車市場だが、正常化の兆しが見え始めている。
 中古車価格の上昇は、半導体不足による新車の生産停滞が影響し2021年後半から鮮明になってきた。新車は人気車を中心に半年以上の納車待ちが相次ぎ、代わりに中古車の需要が増加。同時に、下取りに出される中古車も減り、需給が急速に締まった。
 中古車競売大手のユー・エス・エスによると、中古車の平均単価は22年2月に初の100万円台に到達。同9月には122万1000円まで上がり、比較可能な1999年4月以降で最高値を記録した。
 中でも顕著だったのが、トヨタ自動車の人気スポーツ用多目的車(SUV)「ランドクルーザー」。東京都内のディーラーは「今は新車より『やや高め』ぐらいに収まっているが、昨年は一時2倍にも上がった」と語る。
 新車生産は昨秋以降、少しずつ回復し始めており、これにつれて中古車価格もピークアウトしている。4月の平均単価は88万3000円と21年8月以来の低水準。前年同月と比べ5.0%安く、3カ月連続で下落した。
 ディーラーからは「中古車の下取りはまだ増えていない」との声もあり、今後どこまで需給が緩和するかは不透明。しかし、別のディーラーは「比較的新しい車を中心に下落傾向にある」と話しており、市場も少しずつ落ち着きを取り戻しそうだ。 

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