金融不安、試される結束=11日からG7財務相会議 2023年05月08日

 先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が11~13日、新潟市で開かれる。相次ぐ米国の銀行破綻などを受け、金融システムの安定に向けて結束を打ち出し、経済の回復基調を維持できるかどうかが問われる。対中国を念頭に置いたサプライチェーン(供給網)強化も議題だ。議長国を務める日本からは鈴木俊一財務相と植田和男日銀総裁が参加する。
 今月1日に米ファースト・リパブリック銀行が2008年のリーマン・ショック以降、米銀としては最大規模で経営破綻するなど、金融市場では信用不安が再燃。金融システム強化は待ったなしだ。米銀の破綻は3月以降、シリコンバレー銀行(SVB)、シグネチャー銀行に続き3行目となった。傘下銀行の預金流出を引き金に、銀行持ち株会社パックウエスト・バンコープの身売りも取り沙汰されている。
 SVB破綻ではSNSで不安をあおる投稿が拡散し、インターネットを通じ急速に預金が流出する事態となった。こうしたデジタル時代の「取り付け騒ぎ」への対応も議題となる可能性がある。
 国際通貨基金(IMF)が4月に公表した最新の世界経済見通しでは、今年の世界の成長率を2.8%とし、1月時点の予想から0.1ポイント引き下げた。ゲオルギエワ専務理事は「地政学的な緊張の高まりとインフレによって、力強い景気回復が実現するかは見通しにくい」と警鐘を鳴らす。G7各国の成長率は軒並み2%を下回る一方、中国とインドについて5%超の成長を見込んだ。
 影響力を強める中国に対抗し、G7はサプライチェーンの多様化を図る。国境紛争を抱える中国と距離を置くインドなども含めた新興・途上国で構成する「グローバルサウス」を巻き込み、経済安全保障強化を進める考えだ。新潟市での会議ではインドやブラジル、アフリカ連合(AU)議長国コモロなどを招待し、新興・途上国を交えた会合も開く。
 日本は、ロシアの侵攻が続くウクライナへの財政支援、対ロ制裁強化を最優先課題に位置付けている。会議では制裁の抜け道対策についても議論する方針だ。 

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