ドイツ、15日に全原発停止=再生エネ注力も課題山積―後処理「100年かかる」 2023年04月14日

 【ベルリン時事】ドイツで最後に残った原発3基が15日、稼働を終える。同国で初めて原発から電力供給された1961年から60年超にわたった原発政策に区切りが付く。発電時に温室効果ガスを出さず、安定電源とされる原発の退場には、気候変動対策とエネルギー安全保障の両面で不安が残る。廃炉などの後処理は長期にわたり、脱原発後も課題は山積している。
 ショルツ首相は「再生可能エネルギーによる電力で2045年までの(温室ガス排出を実質ゼロにする)気候中立と産業改革を実現する」と強調。風力中心に再生エネ拡大に注力する方針だ。
 ただドイツの電力価格は、エネルギー危機に陥った欧州連合(EU)内でも上位。電力不足時には一段の高騰も懸念され、連立与党内に「脱原発は戦略的な誤り」(産業界寄りの自由民主党)との批判もくすぶる。当面は石炭火力で補うが、二酸化炭素(CO2)の排出量は増す。
 今後は停止した30基超の後処理が続く。廃炉には10~15年かかる見通しで、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の立地は決まっていない。専門家は全て終わるまでに「100年かかる可能性がある」と指摘している。
 ドイツは、チェルノブイリ原発事故の経験などから安全性への懸念が高まり、02年に原発の段階的な廃止を法制化した。一時運転期間の延長が目指されたが、11年の東京電力福島第1原発事故を機に、22年末の全原発停止が決定。昨年ウクライナに侵攻したロシアからの天然ガス供給が途絶し、3基に限り稼働を今月15日まで延ばしていた。 

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15日に稼働を止めるイーザル原発=1日、ドイツ南部バイエルン州エッシェンバッハ
15日に稼働を止めるイーザル原発=1日、ドイツ南部バイエルン州エッシェンバッハ

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