物価高騰、建設費上振れも=入場料いまだ決まらず―大阪・関西万博まで2年 2023年04月12日

 2025年大阪・関西万博まで13日で2年となる中、物価高騰が開催に影を落としている。会場施設の入札不成立や入場料決定時期の遅れといった形で表れているが、目玉であるパビリオンなどの質を落とすわけにはいかず、建設費や運営費が大きく上振れする懸念もくすぶっている。
 大阪市の人工島「夢洲」がメイン会場になる大阪・関西万博は、国内では05年に愛知県で開かれた「愛・地球博」以来20年ぶりの大型博覧会。期間は25年4月から半年間で、来場者数を2820万人と見込む。
 会場建設費の1850億円は、国と経済界、大阪府・市が3分の1ずつ負担するが、20年末に当初予算の1250億円から600億円上振れした経緯がある。
 それでも運営主体の日本博覧会協会が発注する会場施設の工事入札は、昨年から不調続きだ。有名アーティストらが手掛けるパビリオンの中には、予定価格を引き上げて落札されたものの、ガラス屋根を撤去するなどデザインの一部変更を余儀なくされたケースも。協会幹部は「景気回復や円安を背景に建築資材や人件費が高騰しているため」と説明する。
 相次ぐ入札不調に、昨年11月には関西経済連合会の松本正義会長から「(再度の建設費上振れを)容認しなければ先に進まない」との発言も飛び出した。一方、岡田直樹万博担当相は「予算の範囲内で収まるよう全力を尽くす」と慎重姿勢を崩さない。
 万博の運営費809億円は、主に入場料収入で賄う。協会側は、最も一般的な通常入場料(大人普通券)を1日6000円程度と想定。昨年中に国の了承を得て今夏に発売開始する方針だったがいまだに詳細が決まらず、秋以降にずれ込む見通しだ。
 物価高や急激な円安で「入場料の設定が難航している」(政府関係者)のが理由で、協会の石毛博行事務総長は今年3月、警備体制強化もあり、運営費がさらに上がる可能性に言及。入場料の値上がりも考えられる。 

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万博会場上空から見たリング状の大屋根のイメージ(日本国際博覧会協会提供)
万博会場上空から見たリング状の大屋根のイメージ(日本国際博覧会協会提供)
万博会場のシンボルである、リング状の大屋根の外観イメージ(日本国際博覧会協会提供)
万博会場のシンボルである、リング状の大屋根の外観イメージ(日本国際博覧会協会提供)

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