報告窓口を一元化へ=サイバー被害潜在化で対策―有識者検討会が提言・警察庁 2023年04月06日

 サイバー犯罪の被害が潜在化していることから、対策を議論してきた警察庁の有識者検討会は6日、被害報告の窓口について「ポータルサイトを設けるなど統一すべきだ」とする報告書をまとめた。現在の窓口は、警察、個人情報保護委員会、所管省庁など複数あり、報告事項や様式も異なる。
 報告書は、警察庁に対し「省庁横断の統一窓口の創設に向け、イニシアチブを強力に発揮することを期待する」と要求。「届け出内容や様式を可能な限り統一することから始めるべきだ」とした。同庁は、一元化に向け関係省庁に連携を呼び掛け、準備を進める。
 報告書は、警察内でも通報・相談方法が統一されていないと指摘。都道府県警察のウェブサイト上に相談窓口があるのは19警察のみで、受理状況も低調といい、警察庁は統一のウェブ窓口を設置し、各警察に割り振る方式にする。今年度末までの運用開始を目指す。
 警察庁が昨年実施した、被害企業や行政機関に対する調査では「届け出なかった」が43.9%を占めた。理由は、「実質被害が無かった」が最多で、「組織内で対応できた」「届け出義務がない」「窓口が分からない」との回答も目立った。
 被害者が刑事処分を望むとは限らず、社会的評価の悪化を懸念して被害申告をためらうケースも少なくない。報告書は、各警察のウェブサイトのコンテンツや警察職員の対応改善により、被害者が自発的に通報・相談しやすい環境整備を進めることを求めた。 

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