年収上限600万円に拡大=大学の授業料減免―中間層、子3人以上など・文科省 2023年04月04日

 文部科学省は4日、大学などの授業料減免と給付型奨学金をセットで行う「高等教育の修学支援新制度」について、中間層の子ども3人以上の世帯などへの支援拡大のため、対象となる年収上限を現行の約380万円から600万円程度に引き上げると発表した。2024年度から開始する。新たな対象は約20万人に上る見込み。
 岸田文雄首相が議長を務める教育未来創造会議の提言を受け、同省が所得基準などを検討。3月に政府が発表した「異次元の少子化対策」のたたき台に盛り込まれた。
 現行制度は、世帯年収に応じて3段階の支援区分を設定。文科省によると、21年度は31.9万人が利用した。最大の支援が受けられる年収約270万円未満のモデルケースでは、入学金と授業料の計約96万円の減免に加え、返済不要の給付型奨学金が年間約91万円支給される。
 新たに設定された四つ目の区分は年収が600万円程度までで、扶養する子が3人以上の多子世帯と私立の理工農系学部に進学する場合が対象となる。多子世帯は年収約270万円未満への支援額の4分の1、私立の理工農系への進学については、文系との授業料の差額を支援する。
 また、大学院(修士段階)授業料の後払い制度も創設。後払いにできる額の上限は、国公立は国立の標準的な授業料(年約54万円)、私立については平均的な私立の授業料とする予定という。卒業後、返済が始まる年収を単身の場合は300万円程度から、子が2人いる場合は400万円程度からとし、返済額は課税所得の9%とする。
 貸与型奨学金で月々の返済額を減らす減額返還制度についても、利用可能な年収上限を現行の325万円以下から400万円以下に引き上げるなどの見直しをした。 

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文部科学省の看板=東京都千代田区
文部科学省の看板=東京都千代田区

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