製造業景況感、5期連続悪化=原材料高騰、2年3カ月ぶり低水準―金融不安で不透明感・日銀短観 2023年04月03日

 日銀が3日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス1となり、2020年12月以来2年3カ月ぶりの低水準だった。昨年12月の前回調査(プラス7)から大きく落ち込み、悪化は5四半期連続。長引く原材料価格の高騰や海外経済の減速が企業心理に響いた。
 一方、大企業非製造業はプラス20と4期連続で改善した。19年12月以来の高水準で、コロナ禍前の水準を回復した。DIは、業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いて算出する。
 3月短観では、3月13日時点で回答の7割弱を回収しており、欧米の金融システム不安はあまり反映されなかった。ただ、金融不安の広がりへの懸念はくすぶっており、事業環境の不透明感はなお拭えない。
 大企業製造業は16業種のうち12業種で景況感が悪化。化学や鉄鋼、非鉄金属や食料品など、幅広い業種が原材料価格やエネルギー価格の高騰を理由に挙げた。電気機械などは、海外経済の停滞や半導体需要の減少も響いた。一方、自動車は生産回復で改善した。
 大企業非製造業は12業種中6業種で改善した。政府の観光支援策やコロナ禍からの経済活動再開により、不動産や小売り、対個人サービスなどの景況感が上向いた。宿泊・飲食サービスはコスト増や人手不足で下押しされて横ばいだった。
 中小企業は製造業がマイナス6で4期ぶりの悪化、非製造業はプラス8と4期連続の改善だった。 

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