積極緩和派、2人に減少=日銀新体制、「出口」に影響も 2023年02月27日

 日銀の次期正副総裁人事を受け、最高意思決定機関である政策委員会のメンバー9人のうち、積極的な金融緩和を主張する「リフレ派」は2人に減少する。黒田東彦総裁とともに異次元緩和をけん引してきたリフレ派の若田部昌澄副総裁が3月19日に退任するため。「出口戦略」を含む今後の政策運営に影響も出そうだ。
 「チャレンジングな課題に挑んでみたい」。次期総裁候補の植田和男氏は27日、参院の所信聴取に対し、将来の「出口」を見据え決意を語った。
 日銀の政策委員は総裁、副総裁2人、審議委員6人で構成され、金融政策を決める投票権を1人1票ずつ持つ。今回の人事案では、経済学者の植田氏をはじめ、副総裁候補の内田真一日銀理事、氷見野良三前金融庁長官も「非リフレ派」とされる。リフレ派は黒田総裁下で10年間担ってきた副総裁ポストを手放すことにもなる。
 2013年に就任した黒田総裁は、リフレ派の論客である岩田規久男副総裁(当時)らとともに大胆な金融緩和を断行。その後も、リフレ派のエコノミストや学者が次々と審議委員に就任し、アベノミクス路線の継続に影響を与えてきた。
 一方、岸田文雄政権下の昨年7月には、リフレ派のエコノミストに代わり、非リフレ派が審議委員に就いた。積極緩和論者の減少に対し、市場では「特定の主張に偏らず、金融政策で多様性のある議論を確保する観点からは望ましい」(国内証券)との見方が出ている。 

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参院議院運営委員会で挙手する日銀総裁候補の植田和男氏=27日午後、国会内
参院議院運営委員会で挙手する日銀総裁候補の植田和男氏=27日午後、国会内

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