世界経済危機の回避模索=ウクライナ侵攻で環境激変―G20財務相会議、開幕へ 2023年02月22日

 【ベンガルール(インド)時事】日米欧の先進7カ国(G7)とロシア、中国などで構成する20カ国・地域(G20)は23~25日、インド南部ベンガルールで財務相・中央銀行総裁会議を開く。ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、エネルギーや食料価格が高騰するなど世界を取り巻く環境は一変。侵攻が継続し、各国の利害が複雑に絡み合う中、世界経済の腰折れを回避するための処方箋を見いだすことができるかが問われる。
 日本からは鈴木俊一財務相、日銀の黒田東彦総裁が出席する。閣僚級が参加する実質的な討議は24、25両日に行われる。鈴木氏は21日の閣議後記者会見で、G20会議に関し、「ウクライナ侵略の長期化に伴うインフレや食料・エネルギー不安、債務問題に直面する途上国支援について議論される」との認識を示した。
 世界的なインフレはピークアウトしつつあるが、沈静にはまだ時間がかかるとみられる。1月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比6.4%上昇と7カ月連続で伸び率が鈍化したものの、依然としてインフレ圧力は根強い。エネルギー、食料価格の高騰や供給混乱は世界経済全体に大きな影響を及ぼしている。
 また、インフレ沈静化のために米国が利上げを進めたことでドル高が進行し、低・中所得国の債務負担は増している。低所得国の債務減免を促進するG20の「共通枠組み」について、中所得国への適用拡大も議題の一つになりそうだ。
 G20議長国を務めるインドは、対ロシア制裁からは距離を置く立場だ。インドは合意形成に向けて「世界経済が抱える課題に対処するための実利的で有意義なアプローチ」を掲げ、ロシアとの対決色を強めるよりは世界銀行など国際金融機関の機能強化といった具体的な成果を追求する構えだ。
 一方、制裁を主導してきたG7の財務相・中銀総裁も23日にベンガルールで会議を開く方針。日本は議長国として、ロシアへの非難やウクライナへの財政支援拡大を改めて打ち出したい考えだ。
 ウクライナ支援を巡っては、岸田文雄首相が20日、生活支援やインフラ復旧のため、新たに55億ドル(約7400億円)の財政支援を行うと表明した。G7会合では、こうした日本政府の取り組みについても説明する。 

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