物価高、債務危機で妥協探る=ウクライナ侵攻1年、終結見えず―G20財務相会議 2023年02月18日

 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が23~25日に、インド・ベンガルールで開かれる。会合中の24日でロシアのウクライナ侵攻開始から1年となるが、戦争終結の兆しは見えない。エネルギーや食料の価格高騰が続き、インフレを抑え込むための米欧による金融引き締めは、世界経済の減速や途上国の債務危機に波及した。ロシアとの距離感が異なるG20各国が、山積する課題に妥協点を見いだせるかが問われる。
 軍事侵攻から1年の節目を迎えるのに合わせ、日米欧の先進7カ国(G7)は、議長国日本の呼び掛けで対面での会合を開く方向で調整。ロシアへの非難とウクライナ支援を改めて打ち出したい考えだ。
 鈴木俊一財務相は10日の閣議後記者会見で、ロシアの金融機関への送金停止や同国産原油の禁輸などの経済制裁に関し、「財政赤字の拡大や鉱工業生産の落ち込みなど、ロシアの戦争継続能力の低下に一定の効果を与えてきた」と強調する。
 だが、国際情勢に詳しい識者は「戦争の早期終結という点では効果が出ていない」と口をそろえる。制裁に距離を置くインドや中国がロシア産の原油などを買い支えているためで、「ダメージは限定的だ」(国際金融筋)との指摘もある。
 G20議長国はそのインドが務める。ウクライナ侵攻後、G20財務相会議は共同声明を採択できていない。「議長総括」との位置付けで、侵攻や世界経済への影響に関する各国の主張を説明するにとどめており、今回も対ロシアで一致した姿勢を打ち出すのは困難だとみられる。
 戦争長期化が懸念される中、国際通貨基金(IMF)は1月末、2023年の世界経済の成長率見通しを2.9%(従来は2.7%)に引き上げた。中国の「ゼロコロナ」政策撤回などがその理由だが、ゲオルギエワ専務理事は「数カ月前の見通しほど悪くはないが、決して良くはない」と指摘した。
 ウクライナ危機を契機としたインフレはピークを越えたとみられるが、収束には程遠い。債務危機は低所得国だけではなく、新興・中所得国にも広がる。G20会合では、貸し手の中国を巻き込んで支援の枠組みを広げられるかどうかも重要な課題となりそうだ。 

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