1月貿易赤字、過去最大3.5兆円=輸出停滞、世界経済に懸念 2023年02月16日

 財務省が16日発表した1月の貿易統計速報(通関ベース)は、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が3兆4966億円の赤字となった。赤字は18カ月連続で、単月の赤字幅は比較可能な1979年以降で過去最大。資源高と円安で輸入額が増えたことに加え、輸出の停滞が響いた。今後、資源高や円安が一服しても、世界経済の減速で輸出の下押し圧力が続く可能性がある。
 1月の輸入総額は前年同月比17.8%増の10兆478億円と、1月として過去最高。品目別では、石炭や液化天然ガス、原油などエネルギー資源の伸びが引き続き輸入総額を押し上げた。
 輸出総額は3.5%増の6兆5512億円。こちらも1月では過去最高だったが、伸び率は4カ月連続で鈍化し、昨年2月から続いていた2桁台の伸びが途切れた。品目別では、自動車や軽油などが伸びたが、自動車部品や半導体製造装置、プラスチックは減少した。
 1月の輸出の鈍化は、中国向けが17.1%減と低迷したことが主因。前年に比べて春節(旧正月)休暇が早かったため、企業活動停滞の影響が1月に大きく出た。もっとも、荷動きを示す輸出数量指数で見ると世界全体に対しても11.5%落ち込み、4カ月連続のマイナス。低下幅も拡大を続けており、輸出の失速が鮮明になりつつある。 

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