被害救済法案で温度差=与野党協議、着地点見えず―旧統一教会 2022年10月21日

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の高額献金や霊感商法の問題を巡り、被害者救済に関する与野党協議が21日、始まった。今国会での法整備に向けて早急な検討の必要性で一致。与野党による共同作業の形が整った。ただ、野党が協議会で法案作りを目指すのに対し、自民党は政府提出法案に議論の一部を反映させるにとどめたい考え。現状で着地点は見えない。
 協議会は自民、公明、立憲民主、日本維新の会の4党が国会内で開いた。次回会合は25日で調整しており、論点整理を行う。
 初会合に同席した立民の安住淳国対委員長は記者団に「成案を得る」と述べ、法案の取りまとめに意欲を示した。一方、自民党の若宮健嗣霊感・悪徳商法等被害救済小委員長は「何がゴールという形にはまだなっていない」と語った。
 岸田文雄首相も21日、維新の馬場伸幸代表らと会談した際、今国会に提出する予定の被害者救済関連法案について「政府としてできるものから出していく」と述べた。
 立民と維新には、社会問題化した教団問題で成果を挙げ、政策立案能力を示したい思惑がある。協議会は両党が自民党に設置を求め、受け入れさせたもの。立民・長妻昭、維新・音喜多駿の両政調会長がメンバーとして顔をそろえた。
 これに対し、教団問題で劣勢に立たされている政府・自民党には、主導権を奪われることへの警戒感がある。実質的な決定の場にする気がないことを示すかのように党役員でない若宮氏を立て、公明党は大口善徳政調会長代理を送り込んだ。
 法案の内容を巡っても主張が異なる。立民と維新は既に共同提出した独自案で、マインドコントロール下の高額寄付などを被害者の家族でも取り戻せるようにするとしている。
 一方、自民党は民法の「契約自由の原則」を踏まえ、本人以外による契約取り消しを広く認めるのに慎重。同党の被害救済小委は21日、代替措置として家族による損害賠償の請求を可能にすることを検討するよう求める緊急提言案をまとめた。
 自公間にも多少の温度差はある。協議会設置を決めた場にいなかった公明党は「法案の協議ではなく被害者救済の意見交換をしていく」(高木陽介政調会長)のが目的との認識を強調している。
 また、国民民主党の舟山康江参院議員会長は21日の記者会見で、「一部の党だけで立ち上げるのは違和感がある」と不快感を示した。 

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旧統一教会被害者救済に向けた法整備の与野党協議に臨む自民、公明、立民、維新の関係者=21日午前、国会内
旧統一教会被害者救済に向けた法整備の与野党協議に臨む自民、公明、立民、維新の関係者=21日午前、国会内

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