日産・ルノー、関係見直しへ=出資15%「対等」視野 2022年10月19日

 日産自動車と仏自動車大手ルノーによる資本関係の見直し協議が本格化してきた。ルノーの日産株保有比率を43%から、日産によるルノーへの出資と同じ15%に引き下げることを視野に入れる。経営不振で1999年にルノーの支援を受けた日産にとって、ルノー株の議決権を行使できないなど「不平等条約」の解消が悲願。世界大手の自動車連合の枠組みは大きく転換しそうだ。
 日産の内田誠社長とルノーのルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)が10日に横浜市の日産本社で会談。両社は11月中旬の合意を目指す。
 日産が資本関係の見直しにこだわるのは、ルノーから派遣された前会長のカルロス・ゴーン被告が逮捕・逃亡の前に、事業規模に勝る日産をルノー傘下に収めようと画策したとされるからだ。ルノーの出資比率が下がれば、日産のルノー株にも議決権が生じ、経営への介入を回避できる。日産幹部は「安定した提携関係を維持し、安心して社員が働くには対等な関係がどうしても必要だ」と強調する。
 ルノーには、日産株売却でまとまった資金を手にできるメリットがある。ルノーは、ロシアからの事業撤退で収益が悪化。欧州で進む電動化に対応するための巨額の投資を迫られているという事情もある。
 関係見直しに向け、日産にとっては資金調達に加え、株主の理解が課題となる。ルノーから28%分の株式を買い戻すには、現在の株価水準から試算して5000億円超が必要だ。企業価値向上にどうつながるのか明示することも求められる。
 日産はルノーの要請に応じ、同社が分社化する予定の電気自動車(EV)新会社への出資も検討している。株式取得費用と合わせると、資金は巨額に及ぶ。
 出資関係見直し協議で、業界関係者は「(日産が34%出資する)三菱自動車との関係にも影響を及ぼす可能性がある」と指摘する。電動化や自動運転などIT業界も巻き込んだ「100年に1度」の変革期は、3社の関係に修正を迫っている。 

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