規模・財源、反撃能力が焦点=防衛力強化、18日から与党協議 2022年10月16日

 年末の国家安全保障戦略など3文書改定に向けた自民、公明両党の協議が18日から始まる。岸田文雄首相が5年以内に防衛力を抜本的に強化する方針を打ち出す中、防衛費増額の規模や財源、敵のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)の在り方が焦点となる。
 与党協議会は、自民党の麻生太郎副総裁と公明党の北側一雄副代表がそれぞれ筆頭を務める。その下に、自民党の小野寺五典安保調査会長や公明の佐藤茂樹外交安保調査会長らのワーキングチームを設け、実務協議を進める。
 防衛費の増額をめぐり、自民党は4月にまとめた提言で、国内総生産(GDP)比2%を念頭に「必要な予算水準の達成を目指す」と明記。しかし、公明党は「額ありきではなく、真に必要な予算を積み上げる」との立場を崩していない。
 政府は防衛費の算定方法に関し、海上保安庁予算などの経費を幅広く含める「北大西洋条約機構(NATO)基準」の採用を検討。公明党は理解を示すが、自民党は「そもそも防衛省予算の大幅な増額が必要だ」(防衛族議員)と反発の声も多い。
 財源の協議も難航が予想される。国債発行も選択肢とする自民党に対し、公明党は「恒久財源を明確にすることは不可欠で、法人税増税も一つの選択肢だ」(北側氏)としているためだ。
 大きな論点となりそうなのが反撃能力の保有だ。首相は「あらゆる選択肢を排除せず、防衛力を抜本的に強化する」と繰り返している。
 自民党は「ミサイル技術の急速な進化によって迎撃は困難になっている」と指摘。専守防衛の考え方の下で保有は可能だと主張する。反撃対象として、発射基地だけでなく、司令部など指揮統制機能も加えるよう求めている。
 公明党も、ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮の相次ぐミサイル発射を踏まえ、一部の幹部から「現在の厳しい安保環境を見れば、全く受け入れられないわけではない」との声が漏れる。
 ただ、党内ではなお慎重論が根強い。保有を認める場合でも、先制攻撃とならないことを確実にするため、相手国が武力攻撃に着手したと認定する条件の厳格化など、歯止めの必要性を訴えている。 

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