円下落、4年8カ月ぶり安値=一時115円目前、「悪い円安」懸念 2021年11月17日

 17日の東京外国為替市場で円相場が一時、1ドル=114円97銭と2017年3月以来、約4年8カ月ぶりの水準まで下落した。米国の景気回復期待を背景に円売り・ドル買いが加速。原油や小麦など輸入価格の高騰に円安が重なり、消費の落ち込みや企業業績の悪化を招く「悪い円安」が懸念されている。
 外為市場では、16日に発表された米国の経済指標で新型コロナウイルス禍からの経済回復が順調に確認され、米長期金利が上昇したことを背景に、ドルを買い進めて円を手放す動きに拍車が掛かった。大規模金融緩和を続ける日本に対し、米国は緩和縮小に向かっており、あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジストは「米景気の回復期待が高まり、日米の金融政策の違いが意識された」と指摘した。
 輸入価格の上昇と円安進行で、ガソリンのほか、パンやスナック菓子など食品の値上げが相次ぐ。7~9月期の実質GDP(国内総生産)成長率が2期ぶりのマイナスとなるなど足踏みが続く国内景気を、円安がさらに冷え込ませる恐れもある。 

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