核ごみ調査、17日で1年=混迷続く処分地選定―北海道2町村 2021年11月16日

 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分地選定の第1段階に当たる「文献調査」が、北海道寿都町と神恵内村で開始されてから17日で1年。この間、住民らが参加して処分事業などについて意見交換する場が両町村に設置されたが、地元や近隣自治体の反対論は根強く、国内初の処分地選定は先行きが見通せない。
 国は、原発の使用済み核燃料を再処理した後に残る核のごみを10万年とも言われる長期間、保管する最終処分地を探している。文献調査は、原子力発電環境整備機構(NUMO)が2年程度かけて学術論文などを基に火山活動や断層がないことなどを確認するもので、掘削はしない。調査を受け入れた自治体や周辺自治体には国から最大20億円が交付される。寿都町と神恵内村はそれぞれ基金として積み立て、地域振興に充てる計画だ。
 寿都町では先月、調査の是非を争点に町長選が行われた。1年前に住民の意向を「肌感覚」でくみ取ったとして調査応募を決めた片岡春雄町長が再選を果たしたが、中止を掲げた対抗馬の得票数は片岡氏の約8割に上り、地元の意見がなお割れていることをうかがわせた。文献調査の後、掘削して地層を調べる第2段階の「概要調査」へ進むかどうか、住民投票で再び賛否を問う。
 調査応募の動きが表面化してから、周辺自治体の一部は核のごみの持ち込み拒否を宣言する条例を制定し、交付金の受け取りも辞退した。寿都町、神恵内村で住民らが意見交換する場は月1回ペースで開催する計画だったが、新型コロナウイルスの影響で4回ずつにとどまっている。
 概要調査への移行には、地元市町村長に加え、知事の同意が必要。核のごみについて「受け入れがたい」とする道条例を根拠に、鈴木直道知事は調査に反対している。 

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