自治体DXに商機=デジタル化支援、相次ぎ参入―民間企業 2021年10月04日

 デジタル技術で既存制度を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む地方自治体の支援に、民間企業が相次ぎ参入している。人口減少による職員不足や税収減に直面する自治体にとって、DXを通じた業務効率化と住民サービスの維持・向上は喫緊の課題。デジタル庁発足も追い風に進み始めた自治体DXに、商機を見いだしている。
 コニカミノルタは7月、職員の業務量や作業の無駄を可視化できるサービスの提供を始めた。他の自治体の取り組みも確認でき、パートナー企業と連携しながら作業マニュアルの整備やペーパーレス化といった効率化策を提案する。今月中に自治体DXの専門子会社を設立、今年度100自治体での導入を目指す。地方銀行などへのサービス展開も検討する。
 人工知能(AI)ベンチャーのコージェントラボ(東京)は、手書きの書面を読み取ってデータ化するシステム「Tegaki(テガキ)」を開発。大阪府八尾市では、コロナ禍で殺到した給付金申請の書類をデータ化する作業の効率化を実現した。同社は「(今後も)紙による申請は残り、記録として保管される公文書も増える。文書からの情報抽出という領域でDXに貢献したい」と意気込む。
 一方、「DXにどのように取り組んだらよいのか」との悩みを抱える自治体も多い。電通など4社が開設した情報サイト「自治体DX白書.com(ドットコム)」は、「予算の獲得」「首長、幹部の意識改革」など現場目線でノウハウを提供。電通の担当者は「自治体とのネットワークを広げ、少子化や地域振興といった課題の解決に役立てたら」と話す。
 政府は2025年度までに、住民税や児童手当などの基幹システムを共通化する方針だ。あるメーカーの担当者は「システム共通化の後も自治体は常にデジタル改革を迫られる。ビジネス機会も増える」とみている。 

その他の写真

自治体窓口で個人番号カード(マイナンバーカード)を受け取る女性(左)=2016年1月、東京都内
自治体窓口で個人番号カード(マイナンバーカード)を受け取る女性(左)=2016年1月、東京都内

特集、解説記事