新生銀、TOBへの賛否留保=SBIに反論、質問状送付へ―17日に取締役会 2021年09月16日

 新生銀行が、インターネット金融大手SBIホールディングスによるTOB(株式公開買い付け)に対する賛否の表明を留保し、SBI側に質問状を送付する方向で調整に入ったことが16日、明らかになった。17日の取締役会で、新株予約権を活用した買収防衛策と併せて協議する方針。新生銀に対するTOBは既に始まっているが、賛否を留保することで時間を稼ぎ、友好的な出資者を探すなどの対応を模索する狙いとみられる。
 新生銀はまた、TOBに関しSBIが開示した内容について「不正確、不十分な内容がある」として反論する見解を発表した。
 この中で新生銀は、2019年に同行がSBIによる資本業務提携の提案を断った際、SBIが「戦略的な意味合いの出るような出資比率は持たない」との意向を示していたと指摘。さらに20年4月、新生銀に対する出資比率が10%に達した時にSBIの北尾吉孝社長が「これ以上増やすつもりはない」と説明していたことを明らかにした。
 だが、SBIはその後も新生銀株を買い増す動きを継続。新生銀は遺憾の意を示していたが、今年3月にはSBIの保有比率は19.85%に達した。新生銀は、こうした経緯もSBIの開示内容には記載がなかったと主張した。
 さらに新生銀は、当時の資本業務提携を断った理由として、提案に含まれていた新生銀の公的資金返済スキームが「非現実的」だったことを挙げた。同スキームは、一般株主に支払う価格を大幅に上回る価格で国に公的資金を返済する内容だったため、株主に対する平等原則などの観点から「実現不可能との結論に達した」と説明。このほか、SBI傘下となることで地域金融機関との幅広い取引が阻害されると指摘したという。
 新生銀関係者は、SBIへの反論を公表した理由について「われわれの認識する事実と異なることを一方的に発信されているのは看過できない」と強調。株主がTOBへの対応を判断するための「十分な情報」を提供するのが狙いだと説明した。 

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新生銀行本店=東京都中央区
新生銀行本店=東京都中央区

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