公取委、「アップル税」にメス=巨大IT規制、収益源を揺さぶり 2021年09月02日

 公正取引委員会と米アップルは、同社の音楽や電子書籍を閲覧する「リーダーアプリ」に関する規約変更で合意した。公取委が「アップル税」ともやゆされる同社アプリストアの手数料の在り方にメスを入れた格好だ。世界的な潮流となっている巨大IT企業への規制強化の動きは、自前のプラットフォームからの手数料収入という収益源を揺さぶっている。
 今回の規約変更は、「リーダーアプリ」について、開発者がアップルに支払う、売り上げの最大30%の配信手数料がかからない外部サイトへ誘導しやすくするもの。開発者の手数料負担が減るため、消費者にとっては音楽や電子書籍をより安価なコストで楽しめる可能性がある。
 同社をはじめとした「GAFA」と呼ばれる巨大ITなどが運営するアプリストアやインターネット通販は消費者に高い利便性をもたらし、無名の中小企業でも全世界に向けて商品・サービスを提供できるメリットがある。一方でこのビジネスモデルは手数料が高額との批判があることに加え、取引に関する情報収集で競争力を強化できてしまう。このため寡占による弊害も懸念されており、各国で見直しの動きが加速している。
 米国ではバイデン大統領の指名により、競争当局トップにGAFA批判で知られる学者のリナ・カーン氏が就任し、締め付けを強化。韓国では先月、グーグルやアップルなどがアプリ開発者に自社決済システムの利用を強制する行為の禁止を法律で定めた。日本でも、2月に巨大ITに取引条件の透明化などを義務付ける法律が施行。GAFA包囲網は確実に狭まっている。 

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