「地域おこし協力隊」予算3倍に=コロナ禍、移住支援―総務省概算要求 2021年08月20日

 総務省は20日、都市部から過疎地などに移り住んで地域振興に取り組む「地域おこし協力隊」制度の関連経費について、来年度予算概算要求に今年度予算の3倍に当たる4億5000万円程度を計上する方向で調整に入った。新型コロナウイルスの感染急拡大を契機に地方への関心が高まっていることから、制度の周知や受け入れ自治体向け支援を強化し、地方への人の流れを後押しする。
 同省の住民基本台帳人口移動報告によると、昨年5月に東京都からの転出者が転入者を初めて上回った。それ以降も、今年3、4月の進学・就職シーズンなどを除き、転出超過となる月が相次いでいる。政府内には、新型コロナの影響でテレワークが浸透しつつあることを追い風に、人口密度の高い都市部を避け、地方移住を検討する人が増えているとの見方が強まっている。
 協力隊は自治体が募集し、おおむね1~3年の任期で農業や観光振興、住民の生活支援、まちづくりなどに従事する。任期終了後も約6割の隊員が活動地域に定住。人脈や経験を生かし、飲食業や宿泊業で起業したり就農したりしている。
 昨年度は前年度比115人増の5464人が隊員として活動。政府は2024年度に「隊員数8000人」を目標としており、新たな隊員の掘り起こしに向けたPRに力を入れるほか、隊員を募集してもなかなか集まらない自治体や制度を導入していない自治体への支援を強化したい考えだ。 

特集、解説記事