脱炭素化、ゼロ金利で支援=外貨資産で環境債購入―日銀、気候変動対応へかじ 2021年07月16日

 日銀は16日、金融政策決定会合を開き、脱炭素化に取り組む企業への投融資を金融機関に促す新たな資金供給制度の骨子素案をまとめた。投融資を行った金融機関に金利0%で資金を貸し付けることが柱。「気候変動に関する取り組み方針」も公表し、アジアの中央銀行と協力し、外貨資産で環境債(グリーンボンド)を購入する方針を正式発表した。
 欧州などの中銀が環境対応に踏み出す中、日銀も積極姿勢を鮮明にした。金融政策については、現在の大規模緩和の維持を決めた。
 新制度は、前回6月会合で導入を決め、今回、素案を公表した。年内に開始し、原則2030年度まで実施する。対象は、気候変動対応で一定の情報を開示している金融機関。新制度を利用すれば、金融機関の日銀当座預金残高にかかるマイナス金利の負担を軽減する。
 日銀は取り組み方針で、「気候変動問題は、中長期的に経済・物価・金融情勢に極めて大きな影響を及ぼす」と指摘。日銀も業務運営で温室効果ガス削減に配慮し、自らが抱える気候変動リスクの情報開示を進める。
 黒田東彦総裁は会合後の記者会見で、「(物価と金融システムの安定という)中銀の使命に沿って気候変動に関する取り組みを進める」と強調。新制度に関し、大手銀行だけでなく地方銀行などを含め、「幅広い金融機関が関心を持って参加してもらえると期待している」と語った。 

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記者会見する日銀の黒田東彦総裁=16日午後、日銀本店
記者会見する日銀の黒田東彦総裁=16日午後、日銀本店

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