ガス会社への課税、負担減検討=自由化に対応、22年度改正で―経産省 2021年07月10日

 大手ガス会社などに課税している法人事業税について、経済産業省は負担を実質的に減らすことを検討している。規制の撤廃で市場の自由化が進んだことを受け、一般事業者よりも税負担が重くなりやすい現在の制度を改めるもので、同省が8月末にまとめる2022年度税制改正要望に盛り込む方向で調整している。
 現在、大手ガス会社に適用している法人事業税の「収入金課税」方式は売上高に応じて課税。利益の大きさなどに応じて課税する一般事業者より負担が重くなりやすい。ガス会社は一地域で一事業者のみ営業できる「地域独占」が認められていたほか、電力と同様に料金規制を設けて必要なコストを料金に転嫁できるなど、一般企業より利益を得やすい環境にあったことが背景にある。
 収入金課税は1949年度から適用されているが、2017年度に地域独占と料金規制が撤廃。新規事業者が参入しやすくなるよう、ガス会社の小売りや製造部門と、供給網を運営する部門を完全分離する法的義務付けが22年度から始まるなど、ガス市場の自由化が進んでいる。そのため経産省からは「公平性の観点から課税方式の是正が必要」との声が出ていた。
 ただ、法人事業税は都道府県税であるため、収入金課税を廃止すると自治体に入る税収が減る恐れがある。全国知事会は「収入金課税を堅持すべきだ」と主張しており、政府・与党内から課税方式の一部に収入金課税を残す意見が出ることも予想される。12月の与党税制改正大綱の取りまとめに向け、調整が難航する可能性がある。 

特集、解説記事