米上場、高水準続く=中国規制でブレーキも―4~6月 2021年07月07日

 【ニューヨーク時事】米株式市場への新規上場件数が高水準で推移している。米調査会社によると、4~6月は115件と前年同期比3倍近くとなり、調達額は407億ドル(約4兆5000億円)に達した。米IT企業に加え、中国企業の上場が相次いでいるためだ。ただ、中国政府が海外市場に上場する同国企業への管理を強化する方針を打ち出しており、勢いにブレーキがかかる可能性がある。
 米ルネサンス・キャピタルが、具体的な事業を持たない特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じた上場などを除いて集計した。新型コロナウイルス危機後の大規模な金融緩和などを背景にした株式相場の回復を反映し、米国では昨夏から上場件数が急増。1~6月の合計は215件と、前年通年実績とほぼ同規模に達した。コロナ禍でも需要が伸びたITや医療関連の企業が全体を押し上げた。
 好調の要因の一つが、中国企業の積極的な上場だ。ロイター通信によると、1~6月の上場件数は34件、調達額は過去最高の125億ドルに上る。6月末には、中国配車サービス大手の滴滴出行が、44億ドルを調達。大型上場に沸く市場では「優良案件を狙う投資マネーは潤沢で、上場ブームは続く」(米コンサルティング会社)との声が上がっている。
 ただ、中国規制当局は今月に入り、データの安全性保護を理由に、米上場を果たしたばかりの滴滴などを調査。6日には、海外上場企業に関わるデータの越境や機密情報に関する法整備を進めると表明し、米市場で中国企業の株価が急落した。
 米メディアによると、米市場への上場準備を進めていた中国企業が、上場先を香港に切り替える例も出ているといい、米国での上場を避ける動きが広がる可能性もある。 

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