ドローン・無人車両で警備=防衛省、5G「スマート基地」実験へ 2021年06月30日

 防衛省は今年度、高速大容量規格「5G」を活用した全国初の「スマート基地」の実証実験に着手する。小型無人機(ドローン)や無人車両による基地警備が柱。少子化などの影響で自衛官の確保が難しくなる中、部隊運用の効率化・省人化を抜本的に進めることを目指す。
 「5Gは、センサーやAI(人工知能)などと組み合わせることで、指揮官が意思決定するための部隊の現状把握などに効果が期待される」。岸信夫防衛相は30日、実証実験が行われる航空自衛隊千歳基地(北海道千歳市)を含む2日間の視察を終え、記者団にこう語った。
 5Gは(1)通信の遅延が生じにくい(2)多数の機器に同時接続できる―ことなどが特長。実証実験は2年間の予定で、通信事業者以外が限られた区域内で独自に構築する「ローカル5G」と呼ばれる電波を用いる。
 具体的な実験項目として、現在は自衛官が担う基地警備を、多数のドローンや無人車両で代替することを想定。取り付けられたセンサーの画像データなどをAIで解析して異常を感知する仕組みだ。
 車両などの燃料補給や部品交換のタイミングを一元的に管理することや、自衛官に「ウエアラブル(身体装着型)カメラ」を持たせて任務状況をリアルタイムで把握することも検討。一方、既存の通信手段に対する干渉や、地形・気象などが与える影響なども調べる。
 現代の戦闘は、陸海空の従来領域から、宇宙やサイバーなどの新領域に拡大。兵器のネットワーク化なども進展し、情報通信基盤の整備が急務となっている。防衛省は今後、千歳基地以外でも実証実験を検討。有効性が確認できれば、将来的に全国で導入を図る考えだ。 

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記者団の取材に応じる岸信夫防衛相(中央)=30日午後、北海道千歳市の陸上自衛隊東千歳駐屯地
記者団の取材に応じる岸信夫防衛相(中央)=30日午後、北海道千歳市の陸上自衛隊東千歳駐屯地

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