地域の脱炭素化へ新交付金=ロードマップ実現後押し―政府 2021年06月19日

 政府は、地球温暖化対策に積極的に取り組む自治体を支援するため、新たな交付金を創設する方向で検討に入った。2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする目標に向けた政府の行程表「地域脱炭素ロードマップ」の実現を後押しするのが狙いで、自治体向けの財政支援を大幅に拡充する。環境省が22年度予算概算要求に盛り込む方針だ。
 地域の脱炭素化には、再生可能エネルギーの導入や建築物の省エネ化、電気自動車の普及など多様な対策を何年間もかけて講じることが必要。自治体側からは、個別事業を対象とした補助金と比べ、柔軟に運用できる交付金の新設を求める声が強い。
 このため、新たな財政支援では、地域経済の活性化につながる形で再生エネを導入する取り組みを積極的に後押しする。対象は、行程表に基づき全国100カ所以上に設ける「先行地域」に限定することを想定。一方で、住宅などの屋根への太陽光パネル設置といった「重点対策」を進める場合は、先行地域以外を含める案もある。
 支援のための財源は、地球温暖化対策などに充てる国の「エネルギー特別会計」を活用する案が浮上。予算規模を含めた具体的な仕組みは概算要求時までに詰める。
 政府が今月策定した行程表では「50年排出ゼロ」の実現に向け、自治体に対し「複数年度にわたり継続的かつ包括的に支援するスキームを構築する」と明記。経済財政運営の基本指針「骨太の方針」にも同様の表現が盛り込まれた。
 また、自民党の「2050年カーボンニュートラル実現推進本部」(本部長・二階俊博幹事長)が5月にまとめた緊急決議も、「複数年度にわたる予算措置を実施する新たな仕組み」を要望。20年度補正予算で創設した企業の技術開発を支援する2兆円の基金とは別に支援策を講じることを求めている。
 脱炭素化をめぐっては、諸外国も積極的に投資。欧州連合(EU)は、新型コロナウイルス禍からの復興を地球温暖化対策と合わせて進める「グリーン・リカバリー」に7年間で約70兆円を充てる。米国は再生エネ設備などインフラ投資に5年間で約100兆円を投じる見通しだ。 

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