農地集約へ計画要請=法律に明記、耕作放棄に歯止め―農水省 2021年06月17日

 農林水産省は、後継ぎがいない農地の貸し出しや集約を加速させるため、地域ごとに農地の将来像を示す計画を策定するよう市町村に対し強く求める。関連法を改正し、計画作成を条文に明記する。農家の高齢化で荒廃農地が一段と広がれば、国産農産物を安定的に供給できなくなる恐れがあり対応を急ぐ。来年の通常国会にも関連法改正案を提出する方針だ。
 農水省が策定を促す「人・農地プラン」では地域の耕地面積と、このうち高齢農家が担う面積、後継者の有無などを示す。その上で、後継者がいない農地の引き受け手の確保や農地集約のための具体策も盛り込む。
 策定要請は2012年に始まった。ただ、「呼び掛け」にとどまっており、完了したのは面積ベースで全国の4割(19年度末時点)で、1割は実施されていない。計画作りには話し合いが不可欠だが、「人口減少で地域をまとめるリーダー役がおらず、農家の腰が重い」(同省幹部)という。
 農地集約を進めるには、各都道府県で貸し手と借り手を仲介する役割を担う農地中間管理機構(農地バンク)の活用がカギを握る。借り手と農家による直接取引は飛び地の発生につながりかねず、生産性が高まらない。貸借をバンクに一元化し、まとまった状態で農地を貸し出せるようにする考えだ。
 農水省によると、農家の高齢化に伴い、30年の就業者数は15年比3割減の140万人に落ち込む見通し。一方、再生利用困難な荒廃農地(19年)は09年比約1.4倍の19.2万ヘクタールと拡大傾向が続いている。 

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